「綺想する表面
- The Surface for Transformation」
関根直子 個展
2024年3月2日(土) – 30日(土)
13:00-18:00
TALK EVENT
関根直子×岡田猛(東京大学 大学院教授)
3月16日(土) 16:00-
私はこれまで色々な物事に影響を受けてきました。中でも文楽の舞台構造は造形の概念的支柱になり、ロスコチャペルの呼吸する光の空間は変容する質のイメージへ、スティーブライヒ「18人の音楽家のための音楽」は点描として色の世界を広げました。また松谷武判さんの造形性はジョイントパネルの発想になり、そして数万年前の洞窟壁画はそのジョイントパネルがつくる実態的な線と描画した線によるイメージの在り方へとなっています。こうした作品の世界感は、比較的、構造的な部分に反応しやすい私の特性が、見た目の世界だけでは乗り越えられない何かを求めていった先に見えてきたものなのだと思うようになりました。
この展覧会のタイトルは「庭の綺想学」という本の言葉が元になっています。“風景”は私の制作のテーマでもありますが、私が考える“風景”とは、単なる目の前の空間の広がりではなく、人に働きかけ、作用するものとしての風景です。現代の私たちはほぼ人が作った物や空間に囲まれており、それらは常に意図やイメージを含んでいます。そして風景は内的な要素をはらみ、私達の外でありながら内でもあると私は考えています。
関根直子
関根直子
関根直子は1977 年東京都生まれ。99 年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、2001 年同大学大学院美術専攻修了。13~14 年に文化庁在外研修員としてパリに研修滞在。一貫して鉛筆やシャープペンシルといった身近な画材を使って制作を行う。自身の記憶や経験をもとに描き出す鉛筆画は、複数の風景やもののイメージを彷彿とさせ、鑑賞者のなかにある記憶の再構成を促す。
主な個展に、「関根直子展」(MA2 ギャラリー、東京、2017)、「風景の庭」(ギャラリエアンドウ、東京、2016)、「OPEN STUDIO NAOKO SEKINE」(CiteInternational des Arts、パリ、2013)。グループ展に、「小瀬村真美・関根直子・手塚愛子」(MA2 Gallery、東京、2018)、「VOCA 展2016 現代美術の展望 ̶ 新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京)など。2002 年にトーキョーワンダーウォール賞、08 年に府中市美術館賞を受賞。作品は、府中市美術館、東京都現代美術館、大分県竹田市図書館、愛知県美術館、和歌山県立近代美術館に収蔵されている。