2020年4月、川内は自宅の近所で見つけたツバメの巣、そこで行われていたツバメの子育ての撮影を始めました。軒先に作られたツバメの巣、餌を求めて飛行する親ツバメ。親鳥の帰りを待ちわび、精一杯の口を開けるヒナ鳥。植物の芽吹き、陽光の輝き。どのような状況にあっても連綿と続く生命の営み、その純粋な力強さを、静かに見守るように切り取っていく川内の写真は、コロナ禍においてさまざまな制約を余儀なくされ、心落ち着かない日々を過ごす私たちに、一時の清涼感と勇気をもたらしてくれます。
黙々と餌を運ぶ親ツバメを見ていると、ただ子供にご飯を食べさせることが、それだけでも親の役目は十分に果たしているよね、とシンプルに思わせてもらえて、なんだか励まされるような気持ちになり、塞いだ気持ちが晴れていくようだった。
――川内倫子