みえないものをみる
私たちには、何気ない日常に起こる些細なことや、親しい関係ゆえに忘れてしまっている感情など、
日々の中で、みえにくくなっていることがあるのではないでしょうか?
新型コロナウィルスによる影響、また度重なる震災などで、先のみえない不安と共に、
ありふれた日常が急に当たり前でなくなり、実は毎日がかけがえのない時間であることに改めて気づかされました。
今回の、今村遼佑、金田実生、小瀬村真美による「みえないものをみる」展は、
ドローイング、油彩、写真、そしてインスタレーションと3人の独自の視点からの作品で、私たちに日常生活の中にある、みえていないことへの気づきをうながします。
今村遼佑は、降り出した雨、通りすがりの花の香り、家にいながら聞こえる外の音など、
何気ない些細なことを作品の素材にする事で、五感をシンプルな要素に還元させ、
個人の記憶が他者の記憶に作用し共有されるような、個と社会の関係を繋ぐ作品を制作しています。
今回は、光、匂いなどをもちいた作品を展示いたします。
金田実生は、目には見えない人間の思いや感情、感じる日々の気配を繊細な筆遣いで画面に描きだします。
見過ごされてしまいそうな、でもたった一度しか見ることのできない空の色や植物のささやきなど、
美しい色彩の絵画は私たち観るものに柔らかい優しさをもたらします。
タブロー、ドローイングを中心に展示いたします。
小瀬村真美は、古典絵画の構図などを利用した映像や写真、インスタレーションで絵画と映像の領域をまたぐような作品表現をしています。
小瀬村の日常からの気づきによる作品は、時と空間を超えた不思議なゆらぎを与えてくれます。コロナでパンデミックの中心となったニューヨークで制作された新作4点も展示されます。